僕の執事

突然笑い出す俺に驚きもせず、透視したかのような事をサラッと言う騎馬は、俺の隣に並び答えを求めてきた。


『てか言わなくてもわかってんじゃん』


「これでも陸とは長いですからね。」


『確かに…』


「なんだかドキドキしてきました。」


『なんで?』


「校長室までしか行ったことが無いので、どうしていれば良いのでしょう?」


いつも冷静なのに…
胸に手を当て、不安そうな顔をする騎馬の姿を初めて見た。


『転校初日にはそんな事言ってなかったじゃん。』


「当たり前です、後輩執事にこんな弱い姿見せられません!!」


『なるほど。』


葵が見たらもっと緊張してたかもな。
─ケタケタ笑ってると、あっという間に教室に着いた。
騎馬が落ち着くのを待つ間、葵から聞いた事をレクチャーした──。


「かしこまりました。」


俺の説明を聞いた騎馬は、さっきの弱気な雰囲気なんか一切纏ってなかった。
その姿は、転校初日に校長室で見せた完璧な執事の姿。ちょっとだけ誇らしく思えた、騎馬の姿だった。


『大丈夫か?』


「はい。参りましょう」


騎馬の声に、ゆっくり教室に足を踏み入れた。


『─おはよ。』