『謝る事でもないだろ。』
それでも葵は「ごめんなさい」と呟き、何時もよりワントーン高い声で話し始めた。
「和臣さんには、執事会の事で色々と意見を交わしていたんです。」
『そう。』
「それから私、明後日用事があるので、朝からご一緒出来ませんが、変わりに騎馬さんにお願いしておきましたので。」
『うん。』
なんか、俺と居るときより楽しそう。
ニコニコしながら話す葵に、少し腹が立った。
いや、実際には葵の記憶のなかにいる名波の執事、和臣に嫉妬してんのかも…
『なんか良いことでもあった?』
嫉妬心を隠し、そう訊ねてた。
「なぜですか?」
『いや、楽しそうだから。』
「何もありませんよ?」
『そう』
─────…
その日から、葵と和臣が話してるのを度々見かけるようになった。
親しげに、でもどこかよそよそしい二人を見かける度に、必ず和臣は俺を見てニヤリと笑った。
何を思ってしてる行動なのかは分かんないけど、俺をイラつかせるには充分だった。
そして今日は、葵が朝から居ない日。
だからって、名波の執事が居ないなんて保証はない。


