「あ…っ…」
小さくそう発した名波は、ぎこちない笑みを浮かべ、「どうしたの?」と聞いてきた。
『ああ…』
気まずい雰囲気の中、俺は再び葵の方へと体を向けた。
「執事…がどうかした?」
俺の目線をたどり、葵の後ろ姿とまだ談笑してる執事をチラッと見遣り、俺に目線を戻した。
『なんか、さっき あの執事に笑われた気がして。』
「執事に?」
『うん。』
「その執事って、奥に居たりする?」
執事を見ながら、俺にそう訊ねてきた名波にそうだと告げると、申し訳なさそうな顔で俺を見た。
「ごめんなさい、あれ私の執事です。」
『えっ!?』
驚きすぎて、それ以上言葉が出なかった。
「失礼な事を…本当にごめんなさい。
執事にはよく、言っておきますので。」
『いや いいよ、何かされたって分けじゃないし。』
本当に済まなそうに謝る名波に、いつの間にか冷静になってた俺は、もう執事の事はどうでも良くなってた。
『それより、ちょっといいか?』
「あ、はい」
コクリと頷き、反対方向に歩いた。
黙って後ろを付いてくる名波は、俺から少し距離を置いてた。


