僕の執事

背もたれに寄りかかり、『ふうー…』と息を吐く。今日は体が重い。
それと、なぜか妙な胸騒ぎを感じた。
 そのざわつきも、葵の一言で消えていったけど。


「佐々木さんがいらっしゃいました。」


玄関から声がし、それに返事を返す。


『いま行く。』


温くなったお茶を一気に飲み干し、忘れ物がないかを確認した後で、玄関に向かった。


『なっ、間に合っただろ?』


靴を履きながら、後ろで慌ただしく動く葵にそう言うと、「間に合ってません!!」と怒られた。



─────…
智章さんの運転で学校に向かう車内は、相変わらずおとなしい恭平が、窓の外を眺めてた。
昨日遅くに降った雪は朝には止んでて、所々白く積もってた。


「昨日、寒くて目が覚めたんだよね。」


『へっ?』


静かな車内、いきなり喋り出した恭平にマヌケな声が出た。


「そしたら雪降ってんだもん、そりゃ寒いよな。」


『ああ…』


返事に困り、そっけない言い回しになる。


『でも、あんま積もんなかったな。』


「うん。」


そこで会話が途切れた。
もうこんな沈黙も気にならない。