「暇なのには変わりありませんが、今 直樹さんは大きな仕事を任されてるみたいで、出掛けることが多くなり僕の出番は少し増えました。
本当に、ほんの少しですけど。」


『へぇ~』


そう話してくれた騎馬は、少し元気が無くみえた。


「熱いのでお気をつください。」


『ありがと』


騎馬が淹れてくれたコーヒーにミルクを入れ、少し甘くして飲んだ。


『ハア…落ち着く。』


「─あの、私上におりますので、何か合ったらお声を掛けてください。」


気を利かせた葵が、そう言ってきた。


『えっ? あ、ありがと。』


今日は葵の言葉に素直に甘える事にした。


『おやすみ。』


「おやすみなさい。」


微笑し軽く頭を下げた葵を見送ると、静かな部屋に騎馬の声が響いた。


「いい子ですよね。」


『執事的には、まだまだだけどな。』


葵が居なくなったリビングで、限られた時間を惜しむ事なく、俺たちのペースでゆっくり会話をした。
あの頃に戻ったみたいだ…─
相変わらず突っ立ったままの騎馬は、俺に仕えてた時よりも凛々しく見えた。


「その後どうですか?」


『どうって?』