「着いたぞ!」


ゆさゆさと揺さぶられ目を開けると、恭平の顔が目の前に合って驚いた。


『わぁっ!!』


「アハハッ!!」


爆笑してる恭平の隣で、放心状態の俺に、叫び声を聞きつけた葵が近寄ってきた。


「大丈夫ですか?!」


『うん… 俺寝てたんだ。』


「爆睡してた。
車が揺れる度に頭が動くから、ちょっと怖かったけど。てか、着いたぞ?」


『えっ?』


苦笑しながら顎をクイッと上げ、俺の後ろを示す仕草に振り返ると、明かり一つ灯ってない真っ暗な俺の家があった。


『ああ…』


それだけ呟くと、体を締め付けてたシートベルトを外し車を降りた。


『じゃあ、明日。』


ヒラヒラと手を振る泉と、「おう、じゃあな!」と返事した恭平。
南に軽く頭を下げ、勢いよくドアをスライドさせ、バタンと閉まったのを確認してから車から離れた。
 窓越しに手を振る泉と恭平に手を振り返し、車が見えなくなるまで見送った。


『真っ暗。』


フッと笑い、門を押すと、パッと玄関の明かりが点いた。


『兄貴帰ってんのかな?』


軽い足取りで短い階段を駆け上がると、玄関のドアが開いた。