僕の執事

しばらく閉じたケータイを見つめ、再び開く。


─カシャッ


静かな車内にカメラのシャッター音が響いた。
その音に気づいたのか、葵が目を覚ました。


『おはよ。』


俺の言葉に、寝ぼけ眼の葵は目をしばたかせ、眠そうな顔で俺をジッと見た。


『まだ、1時間あるから寝てろ。着いたら起こすから』


俺の声にコクンと頷き、また俺の肩に寄りかかって、スースー寝息を立て眠り始めた。
葵が眠ったのを確認し、慌て閉じたケータイを開いた。
画面には、俺の肩で無防備な姿で眠る葵と、カメラ目線の俺が写ってる。
プリクラや写真は幼い頃にたくさん撮ったけど、こうやってケータイに収まるのは初めてな気がする。


チラッと葵の寝顔を見て微笑し、またケータイに目を移した。
昼間撮ったムービーを流し、ゾウがリンゴを食べてる姿を見てる葵を思い出し小さく笑った。
─数十秒のムービーが終わり、パタンとケータイを閉じ、そのままコートのポケットに押し込んだ。
寝てるせいか、だんだん緩くなる手をそっと握りしめた。
ピクッと小さく反応する手に微笑んだ───