僕の執事

車を走らせ付いた先は、一ノ瀬家専用駐車場。
ハッキリ言ってこの駐車場はあまり好きじゃない。金持ちを主張してるみたいだから。
まあ、駐車スペースを探さなくていいのは楽だけど。
時々金持ちだってお前等と変わんねぇ普通の人間なんだぞ!って怒鳴りたくなる。
怒鳴る奴いないけど…。


「陸は忙しいですね」


駐車場を出、歩いてると、突然騎馬に笑われた。


『なにが？』


「笑ったり、怒ったり忙しい顔ですね？」


『…そんなに忙しいか？』


頬を両手で包み、眉根を寄せると、突然騎馬が親父の話しをし出した。


「あなたのお父様が僕をあなたの執事にしたのは、１人でいたから。ではないんですよ？」


『なんだよ、いきなり』


「陸には、感情豊かな子に育って欲しい。
そう願って私を陸に会わせたんだそうです。
旦那様は私と初めて会った時、陸と気が合いそうだ。そう仰って笑っていました。」


『親父が？』


「はい、とても穏やかな顔で、陸の事をとても愛しているんだなぁとそう感じました。
直樹さんの勉強が忙しく、奥様が陸に構ってやれない代わりに、僕に陸の側にいてやって欲しいと。」