僕の執事

─Butler's駅に電車が来るまで、ベンチに座り待つことにした。


「理事長に、陸を大切にしなさいと言われました。」


バカしか言わなかった葵が、突然そんな事を言った。


『そう。』


「理事長となんのお話しをなさっていたんですか?」


『なにも?神田より俺の方が大人だって話し?』


「それだけですか?」


『うん、あとは秘密。』


俺の言葉を聞いて、唇を尖らせる葵に、微笑しながら空を見上げた。


『見れるかなー?』


「星ですか?」


『うん。まだ電車来そうにないし。』


「どうですかね?」


一番星がちらつき始める空を見上げ、握った手をポケットに入れた。


「寒いですか?」


『ん、少しな。
葵の手カイロみたい』


「陸の手は氷みたいですね…」


手を突っ込まれ、入り口を塞がれたポケットを2人で見ながら、会話を続けた。


『あ、じゃあこうしたらもっと温まるかも。』


入れたばっかのポケットから手を出し、指を広げ葵の指に絡めた。


『どう?』


貝殻のように、隙間無く繋がれた手をニギニギしながら葵に問うと、返事の代わりにうんと顔を赤らめ頷いた。