『久しぶりで楽しいのは分かるけど、もう少し…』
側にいて欲しかった。
もっとたくさん葵の思い出聞きたかった。
『もう少し、俺に気使ってくれてもよくね?』
俺の精一杯の強がり。
今日は素直になれそうな気がしてたけど、気のせいだったみたいだ…
─駅が近づいた頃、背中にあった違和感が消えた。
『……?』
振り向くと、数歩後ろで俯いたまま立ち止まる葵がいた。
前にもあったな、こんなの。口元に笑みを浮かべ、何も言わずに近づくとそっと右手を差し出した。
『帰ろ?』
それでも動かない葵の手を握り、ゆっくり歩いた。そのすぐ後に、葵の靴音が聞こえた。
『泣き虫。』
「泣いてないもん。」
『ホントかよ!?』
後ろを振り返り、葵の顔を覗き込むと、目に涙を浮かべたまま俺を睨んだ。
『確かに、まだ泣いてない。』
「バカ…。」
『そう。』
「意地っ張り。」
『うん』
だんだん鼻声になる葵は、昔みたいに同じ事は繰り返さなかった。
ひたすらバカバカ言ってた子供の葵と、不安がって泣かせた俺。
あの日となんか変わってるかな?


