僕の執事

─それからしばらく、俺が進む度に後ろに引っ張られる感じがして、コッソリ後ろに目を遣ると、葵の腕が俺の背中に延びてた。


『それ好きだな。』


「えっ?」


笑いながら言う俺に、後ろから驚く声がした。


『歩くの早い?少し緩めようか?』


「ううん、大丈夫。」


『そう?』


「うん。」


それからまた、沈黙が続いた。
左に延びてく影が、俺と葵の姿をハッキリと映し出してた。
その影を見てまた笑った
小さい子供が、迷子にならないよう一生懸命付いてきてるみたいに見えて、葵の影が凄く可愛く見えた。


『俺さ、今日アイツに嫉妬した。』


いい加減気づいて欲しくて、もう気持ちを抑えるのがめんどくさくて…そんな事を口走った。


「アイツ?」


『お似合いだよ。
アイツと葵……でも、アイツにだけは、笑いかけて欲しくなかった。』


両手をコートのポケットに突っ込み、少し俯いたまま歩いた。


『神田が葵を好きなんだなって事は、会って数分で分かった。
葵があの学校でアイツに助けられてきた事も、2人の会話聞いててなんとなく分かった。』


そのたび、苦しくて
見てられなかった…。