僕の執事

執事学校を出てから、俺は無言で歩いた。
たまに早足で近づく葵を気にかけつつも、やっぱりイライラを抑えられず、葵と距離を置いた。
 時間が経てばこのイライラも消えるだろ。
そう思い、ただひたすら駅に向かって歩いた。


「…あの…」


『………。』


葵の言葉に何も返さずにいると、グイッ!と腕を引っ張られた。


『…なに?』


驚きとイライラがうまく処理出来ず、眉間にシワを寄せたまま冷たい言い方をしてしまった。
しまった!!、なんて思った頃にはもう時すでに遅し状態で…


「…陸が…」


葵はそこまで口にすると、黙ったまま俯いた。


『ごめん…』


ため息を吐き、オレンジ色に染まった空を見上げた。


『とりあえず帰ろ?
恭平達来るって言ってたから。』


なるべく優しい口調で問いかけると、何も言わずコクンと頷いた。


『あ、ちょいまち。』


再び歩き始めた葵を呼び止め、首に巻いてたマフラーを外し、葵の首に巻き直した。


「…っ」


何か言おうと口を開く葵を遮り『寒くなってきたから』だけを告げ先を歩いた。