僕の執事

一階に戻ると、葵がもの凄い速さで駆け寄ってきた。


「どこに行ってらしたんですか!?」


凄い剣幕で言われ、正直に理事長の所だと打ち明け謝った。


「理事長の所へ?」


『そう。』


「何しに?」


『知りたいなら聞いてこいよ。あ、そろそろ帰るぞ?』


視線を逸らし言うと、葵は一歩下がり黙って階段を上っていった──


「一ノ瀬くん、だったかな?」


葵の姿が見えなくなったのを見計らって、神田の奴が話しかけてきた。


『はい。』


「君、高城さんの幼なじみなんでしょ?」


『はい。』


だからなんだと言い返したくなる。
宣戦布告でもするつもりなのか?


「ふ~ん。
君には負けませんから!」


『…ふっ!!』


マジかよ。
本当に宣戦布告してきた神田につい笑ってしまった。
神田はさっきよりも怖い顔で俺を睨みつけた。
何がおかしいとでも言いたげな顔で。


「随分と余裕がおありなんですね。」


『余裕なんかありませんよ。 僕は、あなたみたいに完璧じゃないですから。』


「…私だって、完璧じゃない。」


その時、初めて神田の弱い姿を見た。
葵の前ではあんなに爽やかな笑顔を振りまいてたのに。