僕の執事


「あなたの時間は、もう動いてるじゃない。」


その言葉に顔を上げると、にっこり微笑む理事が「だって」と続けた。


「あなた嫉妬したんでしょ? 今のあの子に。」


『…はい。』


「だったら、無理に距離を縮める必要はないと思うわ。大丈夫!あなたなら、あの子を守ってあげられるから。
焦っても、何も生まれないわよ?
 今あなたに出来るのは、あの子の手を握って笑いかける事。でしょ?
そんな顔しないの、男の子でしょ?!」


『…はい』


吐息にも似た声で返事をした。
声も出せないほど、溢れ出る涙に自分で驚いてた。


「我慢してたのね。
神田はいい子なんだけど、まだ青二才だから…許してやってね?」


理事長はクスリと笑い「そう考えると、あなたの方が大人ね」と言った──


『みっともない姿をお見せしてしまって、すいません…』


さんざん声を殺し泣いた後、入れ直してくれたコーヒーを飲みながら謝った。


「いいのよ。泣くって事は、それほど思いが強いって事ですもの。
心が悩みすぎてパンクしたのね。」


『そうかもしれません…』


「─そろそろ行かないと、心配してるかもしれないわね?」