僕の執事


「いきなり呼び出して迷惑じゃなかったかしら?」


『いえ、逆に助かりました。』


「そう?それなら良かった。」


『…俺、今好きな人が居るんです。』


気づいたらそんなことを言ってた。


『昔から一緒に居るのが当然で、どこにも行かないだろうって、鷹をくくってたんです。
ただ、告白出来なかっただけなんですけど…』


理事長は黙って話を聞いてた。


『気づいたら居なくて、連絡もなくて…
その時改めて、どのくらい好きになってたのか気づいたんです。
居なくなって気づく。
その言葉の通りでした。 ある日、ひょっこり帰って来た彼女は凄くキレイになってました。
そん時、俺素直にお帰りって言ってやれなくて…』


窓から見える薄い空色の空を眺め、時々微笑みながら一方的に話した。


『住む世界が違って見えました。そいつ1人だけやけに大人に見えて、置いて行かれた気がした…
 俺の時間はあの日から止まったままなのに、アイツの中ではずっと動いてて、いくら一緒にいてもモヤモヤが消えなくて、勝手に不安になって嫉妬して…カッコ悪いですよね』


握ったままのコーヒーカップに目を落とし、ボソッと呟いた。