僕の執事

ここでは1つの部屋に、2人で生活をするんだと教えてくれた。


「ここは私の部屋だった所です。」


『へぇ~。』


ドアを開ける葵の後ろで、勝手に入って大丈夫なのか心配になったが、開けてみると空き部屋だった。


「一緒に居た子は執事になったのかな?」


葵の呟きを聞きながら、部屋を見渡すと、ベッドが壁にピッタリ付き、窓側には机が鏡合わせのように並んでいた。
 白い布で覆われたベッドの横をすり抜け、壁に手を置きしゃがみ込む葵に近づく。


「ここに、私がいた記しを付けたんです。」


半分板張りの壁をさする手が退いた時、日付が目に入った。


「この部屋をでる時、こっそり。
いつか消されちゃいそうですけど」


優しく笑う横顔をチラッと盗み見た。
俺の知らない葵、此処で知れるかな?


「さて、次に行きましょうか?」


しばらく眺めたあと、すっくと立ち上がった葵に続いて、無言で立ち上がると部屋を出た──


「こちらにおいででしたか。」


その声に来た方を見ると、涼しげな笑みを浮かべる神田がいた。


「はい。あ、神田さん、私と同室の方は…執事に?」