僕の執事


「お座りなさい。」


「はい。」


「話は神田から聞きました。」


目の前のソファーに腰掛け、チラリと俺を見た後、理事長が話しだした。


「特別に許可しましょう。
好きにご覧なさい。
…そちらの方が、一ノ瀬さん?」


俺に顔を向け、葵に聞く理事長。
俺は丁寧な言葉で、探り探り自己紹介をし最後に軽く頭を下げた。


『はじめまして、一ノ瀬陸と申します。
いきなり押しかけてしまって、ごめんなさい。』


「いいのよ、気にしないでちょうだい?
そんな事より、騎馬もあなたに仕えていましたね?」


『はい。』


「騎馬の執事ぶりはどうでしたか?」


突然そんな事を聞かれ、戸惑いながらも素直に思い、感じた事を言った。


『騎馬は、すごく優秀な執事です。
自分の事より、僕を優先して、いつも側にいてくれました。
僕にとって騎馬は大切な家族みたいなものだと今でも思ってます。
最近では、たまにしか会えないんですが…。』


「とても騎馬を信頼してるのね。」


『はい。』


その時見た理事長の顔は、俺が見た中で一番幸せそうな笑顔だった。