「それはもう!!でも、唯一誉めてくれた、料理があるんです!!」
誇らしげに顔を上げる葵に、何だったのか聞くと、嬉しそうに「アップパイです!!」と答えた。
『あれ、うまいもんな
ちょっと甘いけど。』
「甘いですか?昔から、あの甘さなんですけど…」
『知ってる!! 昔から甘かった。』
そんな話をしてる内に、数メートル先に執事学校の屋根が見えてきた。
大きな黒い門が、来る人を拒絶してるようにも見える。
外壁はそれほど高くはないのに、やっぱり入りづらい雰囲気が漂ってた。
キィ─と錆びた金属音と共に、葵が俺を呼んだ。
「どうぞ?」
堂々と門を開けいつの間にかほどけた手を気にすることなく、笑顔で入っていく葵に、少し躊躇し後を追った。
執事学校の中は、想像してたよりも綺麗だった。
入ってすぐ、クリスマスローズとパンジーが一緒に植えられたプランターが目に付いた。
少し先の玄関まで両端に、等間隔で並べられた花を葵は笑顔で眺めた。
─ブーッ ブザー音の後に、中から短い返事と共に燕尾服を身にまとった男性が出てきた。
「はい、なにかご用でしょうか?」


