僕の執事


『はぁ…ごめん。』


かすれた声で謝りながら、葵から離れた。
数歩後ずさり、背を向け空を見上げた。


『…スゥー…ハァー…』


大きく深呼吸をし、振り返ると俺より切ない顔をしてる葵に笑顔を向け、ゆっくり近寄ると、俯く葵の髪を撫でた。


『なんで俺より悲しい顔なんだよ』


「なんて声を掛けたらいいかわからなくて…」


『何も言わなくていい。』


側に居てくれるだけで充分だから。
そう言えたら楽になるのに、つまらないプライドが邪魔して言えなかった。


『よし、行くか!!』


コクリと頷いたのを確認し、隣を歩いた。
時々触れる手に指を絡ませ、自然と繋がれた手にドキドキした。
それからまた、葵の思い出話に耳を傾けた。
執事学校でのルール。
料理はもちろん、振る舞い方、お茶やコーヒーの入れ方も習った事を聞かされた。


「料理の授業が一番辛かったんです…」


『得意そうなのに。』


「料理の腕には自信が合ったんですが、先生が厳しいお方で、なかなか首を縦に振ってくれないんですよ!!」


思い出していじける姿につい可愛いって言いそうになって、慌て違う言葉を被せた。


『そんなに厳しいの?』