僕の執事

それからすぐ、なぜか"駅"だけが日本語で書かれた【Butler's駅】で降りた。
葵の案内で執事学校へ向かう道中、物珍しげに辺りを見渡してる間も、葵は黙々と少し先を歩いた。
話す話題もないし、話さなくても居れるこの関係が、嬉しくもあり少し悲しかった。


幼なじみでもなく
友達でもない。
恋人にもなれず…。
告白をする勇気もない。
だから、ずっと僕の執事のままなんだ。
でも、今はそれでもいいと思ってる。
一緒にいれるなら、側に居てくれるなら…──


「この道、泣きながら歩いたんです…」


それまで黙ってた葵が急に話し出した。


「みんなと離れるのが辛くて、着いてすぐホームシックになって…
一緒に付いてきてくれた騎馬さんにまで迷惑をかけてしまって…」


『騎馬も一緒に?』


「はい、陸が学校に行ってる間に此処に来たので…」


『そっか。』


俺が帰った時には、いつも騎馬が笑顔で出迎えてくれてた。だから、気づかなかったんだ…なんか、複雑な気分。


「今改めて思い返しても、よく此処まで決断できたな…ってちょっと自分で自分に驚きです。」


そう笑い飛ばす葵の顔は、いつもより穏やかだった。