僕の執事


「あの駅が降りる駅です。」


葵の視線をたどり、駅の名前を目を凝らし読もうとすると─


「Butler's駅」


『ん?…』


「駅の名前、Butler's駅って言うんです。
執事の駅。」


『そのままじゃん…』


俺の言葉に、クスリと笑い先を続けた。


「元々は、"星空の駅"という名前だったらしいんです。」


『泉が喜びそうな名前だな』


葵も同じ事を思ったと微笑した。


「この辺は街灯が少ないので、夜は星がキレイに見えるんです。」


『へぇ~。』


「卒業した日に少しだけ見たんですけど、沈みかけの夕陽に、群青色の空が凄くキレイで…
プラネタリウムの中にいるみたいでした。」


遠くを見つめ、記憶を呼び起こしながら話す声を聞きながら、想像を膨らませた。


『見てみたいな…』


"葵がみた景色。"
だけ言えずに消えた。
散々同じようなこと言ってたのに。
そう思ったら、自分で自分が気持ち悪くなった。


「見れるといいですよね。」


『うん。』


それから暫く沈黙が続いた。
でも、その沈黙はどこか懐かしくて、居心地がよかった。