僕の執事


『…シンデレラ…』


その時、いつかの騎馬と交わした会話を思い出した。
騎馬が俺の執事を辞める1日前。
あの時、騎馬は《「もっとふさわしい方がいらっしゃいます。」》そう言ってた。
偶然かも、間違ってるかも知れないけど、今は騎馬の言ってたふさわしい人が葵であってほしいと心から願った。


夜中の12時を過ぎても一緒にいれるけど、今目の前にいる葵は今日しか会えない。
空が暗くなったら、執事の服に着替えて流星群を見に出かける。
幸せがそう長くは続かないのをよく知ってる。
寧ろ不幸の方が多いかも…。
だから、この瞬間を大切にしようって思えるのかも。


『─よし!! 葵』


「はい?」


『写真撮ろ!?』


返事を聞く前に、近くにいた従業員にケータイを渡した。


『記念に。ちゃんと笑えよ?』


「笑ってますよ!! 陸みたいに引きつった笑顔してませんから!」


『ハハッ』


「いきまーす!!
はい、チーズ!」


カシャッ─


『ありがとうございます!』



──それから予定通り、お昼にゾウの元へ戻った。
ちょうど昼食時と重なったのもあり、それほど人は居なかった。