僕の執事

急に考え始めた葵は、俺の行動にまだ気づいてないらし。


『葵。』


名前を呼ぶと、伏せた目がゆっくり俺に向けられた。


「……。」


ピコッ─
キョトンとしてる葵を前に、ケータイを閉じるとポケットに突っ込んだ。


『次は、どこ?』


ピンクの風船を風で揺らしながら、再び広げたパンフレットを黙って覗き込む葵。


「…陸は?」


『ん?』


パンフレットから俺に目を移した葵の顔が、予想以上に近くて思わず目をそらした。


「陸は、見たい動物とかないんですか?」


『見たい動物…俺は充分観たからなぁ…』


葵が一直線に歩く後ろで、俺は他の動物を見てたから、わざわざ戻ってまでみたい動物は居なかった。


『葵が決めていいよ。』


「本当にいいんですか?」


『葵が来たいって言ったんだから、好きなのいっぱい見とけ!俺は大丈夫だから。』


笑顔を向けると、申し訳なさそうな顔を向けられた。


『そんな顔すんなよ!
俺は充分楽しいから。
ほら、早くしねぇーと、みたいの見れずに終わるぞ?』


「はい…」