僕の執事

名波と執事が俺の横を通り過ぎ、繋いだまま隠してた手を戻すと、振り向く事無く歩く名波の後ろ姿を見た。


「告白されたんですか?」


無言で歩く俺に、葵が聞いてきた。
知られたくなかった。
知って欲しくもなかった。
だから言葉の代わりに、軽く頷くだけにした。


「その様子だと、振ってしまったんですね。」


『…好きじゃないのにつき合っても、相手傷つけるだけだろ。』


「そうですけど…」


『名波と付き合って欲しかった?』


こんな事、ケンカの種にしかなんねぇのに…
てか、こんな事言うつもりじゃなかったのに…。
──あれから葵はずっと黙ったまま。
バスに乗り駅に向かう間も、駅のホームで電車を待ってる間も気になったけど、やっぱ聞けなくて…繋いだ手をただボーっと眺めた
こんな顔させるために誘ったんじゃないのに。


『はぁ…』


俺のため息にピクっと反応した葵が、俺をみた気がしたけど、今の俺には笑いかけるような余裕なんかない。
ホームの向こうを眺め、その視線を空に向けた。
冬の青空が少し悲しい色に見えるほど、俺はこの沈黙に耐えられなくなってた。