僕の執事


「ずっと理解出来てないままでいいです。
陸には、変わらないでほしいから。」


『なんだよそれ』


敬語とタメ語が混じった話し方をする葵は、本当に楽しそうな顔をしてた。
そんな葵を見て、本当に帰って来たんだ…なんて、今頃実感してた。
 繋いだ手から鼓動が伝わりそうなほど、ドキドキが止まらない俺の心臓は、実感したことでさらに速くなった。
そして、こんなにも葵の事を好きになってたことに、今やっと気づいた。


ずっと忘れようとしてた。
何か夢中になれる物があれば忘れられる、そう思って片っ端から試して見たけど、結局どれもダメで。
毎日通る葵の家を、いつも遠くから眺めてた。
葵が居なくなった事を認めたくなくて。
葵がいた事を記憶から消せたら…そんな事を何度も思った。


でも、忘れようとすればするほど、思い出してて…
考えたくなくて、前よりもっと勉強するようになった。
時間と共に薄れてくのをひたすら願いながら。
でも、葵は度々俺の夢に現れては、俺を悩ませた。
まるで、忘れないでって言ってるみたいに…そんな夢もいつの間にか見なくなった。