僕の執事

いきなり話しかけられ、左を向くと、少し後ろに葵がいた。


『あ…ごめん。
歩くの早かったな』


苦笑する俺に、葵は首を振った。
 よく見ると、葵の腕は俺の背中に回され、その手はコートを掴んでた。


「慣れてますから。」


『そう。』


慣れてても困るんだけど…出来れば、並んであるきたい。
葵の手をコートから引き離して、手を握ったら葵は嫌がるかな?
いや、でも…─
そんな事を繰り返してると、後ろから声がした。


『えっ?』


「聞いていらっしゃらなかったんですか?」


『あ、ごめん。』


さっきから、生返事を繰り返してた俺を不審に思ったらしく、いきなり「楽しいですか?」なんて聞いてきた。


『すっげー楽しい!!』


すげぇ楽しいのは本当。
でも、それと同じ位気に後ろに回された葵の手が気になって、葵に告げるべきか悩んだ末、打ち明けることにした。


『あのさ、俺すごい気になってることがあんだけど…』


「なんでしょう?」


浅く息を吐き、立ち止まった。


『あのさ…』