僕の執事

突然俯く葵に、なにかしたかも聞くに聞けない状態のまま、しばらく沈黙が続いた。


「…コート、取ってきます。」


『うん。』


部屋に戻る間際、チラッと見えた葵の顔は赤かった。その後ろ姿を静かに眺め、さっきの俯いた理由を探ってた。
結局答えは見つかんないんだけど…。


「お待たせしました。」


また足元に落とした視線を、上にあげた。
部屋から出てきた葵は、白いロングニットをさっきの薄い服の上に羽織ってた。


『そんなんで寒くねぇの?』


「はい、大丈夫です!
今日は天気がいいので」


『…そう。』


晴れてても寒いと思うんだけど…
それから、一時間後。
すべての戸締まり確認をする葵を待ち、ようやく家を出た。
タクシーで行こうかって話しが出たけど、せっかくの2人の時間をタクシーの中で過ごすのは嫌だ。
そう思った俺は、『やっぱタクシーじゃなくて電車で行くか。』


「はい!」


俺の話を笑顔で聞く葵。
今日だけは、執事なんて思わずに1人の女の子として扱っていいんだよな?
言葉に出さず、葵に問い掛けた。
変に意識してさっきから、葵と目が合わせられないでいる俺に…


「今日はおとなしいですね。」


『えっ?』