俺の目に飛び込んできたのは、窓際に堂々と飾り付けされた、白いクリスマスツリーと、この短時間の間に、どうやって作ったんだと言いたくなるほど、テーブルいっぱいに並べられた料理だった。


「驚かそうと思って、二人で作ったんです!」


『そう、なんだ』


未だにその場から動けずにいる俺の後ろから、俺を押しのけ恭平が入ってきた。


「すごっ!! こんなに沢山どうしたの?」


テーブルに駆け寄り、並べられた料理を眺めながら、執事に訊ねる恭平の声に、引き寄せられるようにテーブルに向かった。


「智章さんと作ったんですよ?!
恭平さんの好きな物も用意してありますので」


『あんな短時間で?
てか、ハンバーグは?』


「ハンバーグ?」


笑いながら繰り返す恭平を無視し、葵の言葉を待った。
葵は小さく笑い、「ごさいます!」とキッチンに向かった。


「陸にメールを貰った後、智章さんを呼んで2人で飾り付けをしたり、お料理したり。
急いで作ったので、味の保証は出来かねますが…」


『ハハッ…』


「それは大丈夫!! ちーちゃん料理上手だから。」


いつの間にかイスに腰掛け、つまみ食いをしてる恭平がボソッと言った。
だから、その自信はどっから来んだよ!!