僕の執事

自然と二組に分かれ、泉と成瀬が先に、次に恭平と篠宮が乗り込み最後に俺と名波が乗った。
閉められたドアに、もう逃げる事は出来ないと思った途端、言葉ではいい現せない感情が俺の心を支配した。
 名波と向かい合わせに座り、ゆっくり上がっていく景色をボーっと眺めてた。


「─私の事、嫌いですか?」


乗り込んで数分後、そんな事を聞かれ驚いた。
名波は俯いたまま、どこかを見てる。


『…なんて言って欲しい?』


そう返すと、名波はさっきの俺より驚いてた。
名波の事は嫌いでもなく好きでもない。
かと言って普通…って分類でもなくて、むしろ苦手。


「嫌いじゃなければ…なんでも?」


『そう。』


そこで会話が途切れる事を祈った。
どの小説読んだって、大抵こんな場合会話が途絶える。
でも、名波は話し続けた


「私の事、どんな風に見てますか?」


まっすぐ目を見て聞いてくる名波。
どんな…?


『ただの、クラスメート。』


俺は何の迷いもなくそう答えた。
名波は「そう」と呟きやっとそこで会話が途絶えた。


「…─私まだ、友達にも昇格してないんだ。」


口元だけで笑みを作る名波の表情が、俺には冷めて見えた。