僕の執事

─コンコンッ
ノックと共に騎馬の声が聞こえ、体をおこし返事をした。
騎馬には俺が返事をしなくても勝手に入るよう伝えてある。
けど、今日くらいはな…
 ガチャ─とドアが開き、騎馬と共に、新しい執事…が、現れた。
執事というのは本来男性の場合によく使われものだが…今俺の目に映ってるのは女だった。
どっかで見たことがある。直感的にそう思った。
きっとこの直感は、当たりだ。


『あおい…』


無意識のうちに呟いていた名前に、新しい執事は反応した。
胸元には、騎馬と同じくAの文字が刻印されたピンズが赤いリンゴと一緒に並んでた。


「この方が新しく陸にお仕えすることになる…」


この言葉のあと、俺は衝撃的な名前を耳にした。
いや、本当は分かってた。
その名前が出る事を…。


「高城葵(たかき あおい)です。
よろしくお願い致します。」


騎馬に促され自己紹介をする葵は、綺麗になってた。
長い黒髪はかなり短くなって背も伸びた。けど、その顔には笑顔がなかった。


『……。』


こんな時、なんて言えばいい?
久しぶり。とか?
どこいってたんだよ!!とか?でも、出た言葉はすごい冷たかった。
自分でも驚くほど…


『今更、なにしに来たんだよ。』