僕の執事


「ありがとう…」


小さく笑う名波を後ろに、ゆっくり前へ進んだ。─少し歩くと、障子戸から手が出てきたり、ろくろ首の首だけ延びてきたり…怖いと思える要素が全く無かった。
それでも、後ろから付いてくる名波からは小さな悲鳴が聞こえ、握らせた裾からは怖いんだって事が伝わって来た。
 その後も墓の中から人が出てきたり、井戸から白い服を着た女の人が現れたり。
子供の頃、なんでこれが怖かったのか不思議で仕方なかった。
 ─数分後、お化け屋敷を出ると、少し日が傾いてた。
未だ震える名波と、恭平達が出てくるのを待つ事にした。


『そんなに怖いか?』


名波は無言で頷いた。


「一ノ瀬くんは怖くないの?」


『うん。だって、作りものだろ?出てくんのは、変装した人間。』


「…そうだけど…一ノ瀬くんって変わってるね」


『普通だろ。』


ただ他人より少し冷めてるだけ。
それからしばらくして、悲鳴と共に篠宮が飛び出してきた。
恭平は?そう聞こうとしたら、笑いながら出口から出てきた。


「信じらんない!!」


胸を押さえしゃがみこむ篠宮に、ケタケタ笑う恭平が近づいてきた。