僕の執事

『…そう…』


全く記憶が無い訳じゃない。
でも、ハッキリ思い出せるか?って言われたら、微妙に近かった。
─ゴンドラに揺られながら、また昔の記憶を辿った。
コレに乗りたい!!と目を輝かせて指差す葵に付き合い、一緒に乗ったゴンドラ。
初めは隣で楽しそうに笑ってた葵も、揺れが大きくなるに連れバーを握る手に力が入ってった。
俺はそんな葵を笑顔でみてた。
ずっと見てた、小さい頃から。《ちぃちゃん》そう呼ばれるたび、胸が大きく脈打って葵が笑うと俺も笑った。


「陸、お前笑ってなかった?」


ゴンドラを降りた時、そんな事を聞かれ、そんなとこまで見てたのかと笑ってしまった。


『子供の頃、遊園地に来た時の事思い出してた。』


俺の返事を聞いた恭平は「よっぽど楽しかったんだな」と笑顔で言った。


『すげー楽しかった、あの頃は…』


切なく笑う俺に、恭平から笑みが消えた。


『…行くか!!』


「うん。」


園内を適当に歩き、片っ端からアトラクションに乗った。
子供用のはさすがに無理だけど、コーヒーカップで恭平が目を回し、名波と篠宮が笑ってた。