僕の執事


『いってらっしゃい。』


5人が乗り込み、安全ベルトを下ろしたのを見届けると、ひらひらと手を振りながらそう投げかけた。
俺の言葉に一番驚いてたのは、泉と恭平だった。


「ジェットコースター苦手なの?」


恭平の問いに、『全然好き。』と答えた。


「じゃあ、なんで?」


『…大切な物が壊れるから?』


「はっ?」


意味が分からないといいたげな二人に再び手を振ると、後ろに下がった。


『楽しんで来いよ~!』


「いってらっしゃーい!!」


係員の一声で信号が赤から青に変わった。
小さく手を振り、出ていくジェットコースターを1人見送った。


みんなには悪いけど、葵がくれたマフラーを風でボロボロにすわけにはいかないから。
 葵が俺だけを思いながら編んでくれたマフラー。
冬しか出番が無いけど…これ巻いてると葵が近くにいるみたいで少し胸が苦しくなる。
何か、付き合ってないのに浮気してる気分…


俺も何かプレゼントしないとな…明日なんとなく聞き出してみるか。
 少し寒いコースター乗り場を引き返し、長いレールが一望出来るベンチに腰掛け、悲鳴と共に上下するコースターを眺めた。