僕の執事

葵に見送られ、外に出ると、一台の黒い車が家の前に止まってた。


「おせーよ!」


『悪い…』


車の窓から顔を出す恭平になぜか怒られながら、その車に乗り込んだ。
今から迎えに行くのか?


「あ、あの3人とは向こうで待ち合わせしてるから。」


俺の考えを読んだかのように、助手席に座る泉がそう告げられた。
なんで向こう?の質問を口には出さず、ただ『うん』と返事をした。
泉の執事、南が運転する車が遊園地に向けゆっくりと走り出す。
─車内では恭平が鼻歌を口ずさんだり、泉が誰かと電話をしてたり…自由過ぎる。でも、不思議と居心地がよかった。


『なあ』


「ん、なに?」


窓の外を眺めながら、鼻歌を唄う恭平に話しかけた。


『俺さ、あの3人の名前、知らないんだけど…』


「あれ?まだ言ってなかったっけ?」


『ん。言われてないし、聞いてない。』


「そっか…3人が話しかけて来た日の順でいい?」


『うん。』


「左から篠宮、成瀬、名波。」


『へぇ~。』


一応納得した風に見せたけど、名前以外に興味はなかった。
ただ、早く帰るにはどうしたらいいかしか頭になかった。