クリスマスイブ当日─
見計らったかのように土曜日と被ったクリスマスイブを、初めて恨んだ。


『はぁ…』


出かける前から、テンションがハンパなく低い俺は適当に選んだ服を着た。
おしゃれする気も起きず、ジーパンに薄手のシャツを着、フードのついたロングシャツを羽織り
 カバンの代わりに、腰にウエストバックを着け、その中に財布とケータイを突っ込み部屋を出た。


『行きたくねえ…』


暗い空気を纏い、最近騎馬見ねぇな…なんて考えながら、葵の部屋を通り過ぎた時、部屋にいたのか葵に呼び止められた。


『ん?』


「良かった。
今から、出かける所ですよね?」


『うん…どうした?』


嬉しそうな声で聞いてくる俺は、投げやりな返事を返した。


「1日早いんですけど、これ…」


ふわっと葵の腕が俺の首にに回され、首元が温かくなった。
 葵が離れたあと、俺の首には白いマフラーが巻かれてた。


『どうしたのこれ?』


マフラーから葵に目線を移すと、頬を紅く染めた葵と目があった。