10分後─
1時間は過ぎたんじゃないかと錯覚を起こすほど、その時間が長く感じた。
透き通る空気の中、遠くから誰かの近づいてくる足音がハッキリと聞こえた。


「誰か来た?」


恭平の声に黙って足音のする方へと顔を向け、暗闇の中をジーッと見てると、カサッカサッ…と草の上を歩く音が止み、全身黒に身を包んだ泉の執事 南が現れ体を起こした。


「翔太さん、また神話をお話になっていたんですか?」


喋り続ける泉に執事が話しかけた途端、泉の声がピタリと止んだ。


『すご…』


「さすが南…」


その光景を恭平と二人眺めてると、南が俺たちに話し掛けてきた。


「迷惑などかけていませんでしたでしょうか?」


『迷惑だなんて…な!』


「うん。星の事が色々聞けて楽しかったです!!
流星雨もキレイだし。」


「そうですか。」


『はい…』


ひきつりそうな笑顔を泉の執事に向け、言葉を選びながら返事をした。
 泉の執事と話すと、すげー緊張すんのなんでだろ?でも、そんな事より今は…─


『あの、他の2人は?』


「あちらに居られます。」