僕の執事


『お前ケータイは?』


「車に忘れてきたみたいでさ、見つかんなくて」


『ふーん』


イマイチ信憑性にかける恭平の言葉に、素直にケータイを渡した。
ケータイを操作し、耳に当てる恭平の横顔をジーッと耳を澄ませ見てると、「はい!」


『えっ! ちょっ…』


いきなりケータイを突っ返してきた。
慌てる俺をよそに、ケータイの向こうから《もしもし》と声がした。


『もしもし…』


《どうなさいました?》


心配そうな声が耳に届き、その声に少し胸が高鳴った。
久しぶりに電話越しに聞いた声。話し方は違うけど、ちゃんと葵だった。


『今どこにいんのかなって?』


《あ、黙って居なくなってごめんなさい。
今、飲み物を買いに来てて…》


少し騒がしい音が耳に届き、自販機に買いに行ったんじゃないと遠まわしに言われた気がした。


『智章さんと南も一緒?』


《はい、一緒です。
代わりましょうか?》


なんて聞き返す葵に、代わらなくて良いと少し強めに言ったら、なぜか笑われた。


《もう少ししたら戻りますので。》


『ん、分かった。
─じゃあ。』