僕の執事


『最近見てなかったのに、なんでまた急に…。』


その時、視線を下に移して初めて気がついた。
俺の膝には、飛び起きた衝撃でシワシワになった毛布が掛けられていた。
騎馬か…


「もうしばらく寝ていますか?」


『いや、止めとく。…そろそろだろ?』


俺は、壁に掛けられた時計を眺め言った。


「そうですね。」


少し寂しそうな声の騎馬に『いつでも会えんだろ?メアドも居場所も分かってるし。
大丈夫だって!』そう明るく声をかけた。


「そうですね。」


こんな会話を、後何度繰り返すんだろう…?
窓から射す光が、だんだんオレンジ色になっていくのを横目に見ながら、また沈黙が顔を出した。


「─陸、一応身の回りの事は書いておきましたが、どうします?」


『ん?』


俺が沈黙と仲良くなりかけた時、どこかへ行っていたらしい騎馬が一枚の紙を持って現れた。


「相手には、陸の詳細なプロフィールは送られてますが…陸持ってます?」


なんでそんな事俺に伝えんだろ?


『ん?…一応。』


騎馬から紙を受け取り、目を通すと、何がどこにあるか、困った時はどこに行けばいいか、なとが事細かに書かれていた。