笑顔で聞いてくる兄貴は、どこか楽しそうだった。


『なにが?』


「葵執事。もう慣れたか?」


『ん、まあ…』


「そっか。あ、騎馬が必要な時は連絡くれればすぐ向かわせるから。」


『ああ、うん…』


こういう言い方は好きじゃない。
連絡くれればとか、暇そうだから。とか…執事は物じゃねぇ!って騎馬には言ったんだよな。
騎馬が来て安心したのは確かだけど…コーヒーを入れる騎馬を見てたら、少し切なくなった。


「陸はご飯どうなさいますか?」


『えっ?』


目が合いそんな事を聞かれ、声が上擦った。


「今、お食べになられますか?」


『ああ…じゃあもらう。』


「かしこまりました。」


騎馬はコーヒーを兄貴に出すと、俺の朝食の用意を始めた。
部屋に戻ろうかと思ってたけど、結局食べなきゃなんないんだし。


『ちょっとケータイ取ってくる。』


ポケットに手を突っ込んだ時、お風呂上がりで手ぶらだったのを思い出し、そう騎馬に伝えリビングを出た。