僕の執事

最近兄貴とこの話をした時、「あれは、お前に俺みたいな目に合わせたくなくて、ああ言っただけだ。」そう言われた。
実際はどんな場所なのかよくわかんないけど、兄貴は学校の寮に入ってた。
俺は、入る気ないけど。


『はあ…騎馬は居なくなるわ、新しい執事は来るわ、転校させられるわで俺の人生今のところ最悪だな』


ドサッと、ソファーに倒れ小さく笑った。


『金持ちなんてろくな事ねぇ…』


本当に、ろくな事ねぇ…


『騎馬、今何時?』


「三時です。」


『そっか…』


後何時間、騎馬と話できんだろ?
いつもあたり前に居たから、こんなたくさん話しするのも初めてに近いかも。
─静かな部屋に、時計の針が進むの音だけが響く。電池取ったら、時計は止まるのに、騎馬は居なくなんだよな…


『新しい執事か…』


無意識にそんな言葉が口から出た。


「仲良くしてあげてくださいね。」


『─…わかってる。』


俺は騎馬に背を向けたまま答えた。


『わかってるけど…なんか無理な気がする。』


「陸は意地っ張りですから。
ちゃんと陸と向き合わないと、本音を聞き逃すと相手に伝えておきます。」


『ハハッ…』