手渡された茶碗の中を覗くと普通だった。
さすがに出来たてのお粥は、昔話盛りには出来ないよな。
なんて思ってると、なにを察したのか、微笑む騎馬に「おかわりならたくさんありますからね」って…


『おかわりはしないから。』


「そうですか。」


なぜか落ち込む騎馬を無視し、お粥を受け取り、なぜかまた本棚の前に戻る葵に声をかけた。


『そんな所じゃなくて、こっちで食べれば?』


同意を求めるように騎馬に『なあ』と言うと未だ落ち込む騎馬からは「そうですね。」と返事がきた。


『はぁ…。 わかったよ、ちょっとだけおかわりするから』


「言いましたね?!」


それまで沈んでた騎馬の目がキラリと光り、不適な笑みを浮かべ微笑んだ。


『騙したな。』


「騙してなんていませんよ?」


涼しい顔で言う騎馬は、急に小声になり、俺にだけ聞こえるよう呟いた。


「それより、葵さんはいいのですか?」


『えっ?』


まだ少し怒ってた俺は、その言葉に葵を見た。
すっかり忘れてた…。
─葵は本棚の前に立ったまま、困った顔でこっちを見てた。


『もういいぞ、騎馬の小芝居終わったから。』