僕の執事

前々からおかしいと思ってた。騎馬が「時間は掛かりますが、すぐなれるでしょう」って言った時から。
新しい執事に頼みごとをしない。なんて、なんで言い切れたのか。
あの日の俺は、何の疑いも持たずに納得してたけど、今なら全部繋がる。
騎馬は知ってたんだ。
葵が執事になった事も、それ以前の事も。
全て…


『もう隠さなくていいよ。』


俺の言葉に何かを察した騎馬は、葵がいないのを確認すると、ゆっくり話し始めた。


「葵さんには言うなと言われて居たんですが、バレてしまったら仕方ないですね。」


『いつから知ってた?』


「…陸と葵さんが中学生だった頃からです。」


『そんな前から…』


「はい。葵さんに執事の話が出たのは、中学二年の時です。
陸がいない日に、一ノ瀬家と高城家で話し合いが行われました。
当初葵さんにはお見合いの話がでていました。」


『お見合い?
俺じゃなくて、葵に?』


「はい。でも、葵さんはそのお見合いを断りました。「お見合いなんかしたくない」の一点張りで。
それを聞いた陸のお父様が「ならば執事になりなさい。」突然そう仰られたのです。
 その場は騒然となりました。「いくら昔からの知りだからと言って、言って良いことと悪いことがあるんじゃないですか?」
葵さんのご両親にそう言われても、なにも反論されませんでした。」