─それからどれくらいの時間が過ぎたのか、窓の外に見える空が少し暗くなった。


「陸…」


『ん?』


「キスした相手って、高城ちゃん?」


『……。』


その沈黙が返事の代わりになり、恭平は俯き、何かを考えてた。
─俺がボーっと窓の外を眺めてると、また恭平の声がした。
すごく近くで…


「…なあ、陸」


『なに?』


俺の目線の先には、恭平がいた。
俺、なにされんの?
押し倒されてるらしいけど、元から寝てるからそれも違うか?


「キスしていい?」


『はっ? お前何言ってっか分かってんの?』


「分かってるから聞いてんじゃん。」


恭平の声と一緒にだんだん近く顔は、優しく元気な恭平とは違い、冷めた目をしてた。
どこか悲しくて、胸が苦しくなるような…すごく冷めた目。


『止めろ…』


「ヤダ」


両手を抑えられ、風邪で体に力が入らない腕を必死に解こうとしたけど、抵抗する度に恭平の手に力が入り、だんだん力が入らなくなってきた。


「あれ、もう抵抗しないの?つまんないなあ~」


『いっ…なんでこんな事』


「教えるわけないじゃん」


その瞬間言いようのない恐怖に襲われた。