僕の執事

 ─そんなこんなで、ホッケーが終わり、気づけば勝敗ボードには3・2と表示されてた。


『よし!!』


ギリギリで勝った俺は、一目も気にせず、思い切りガッツポーズをした。


「…陸、もう一回勝負しましょう!!」


近づいて来た騎馬に真顔で言われ、ホッケー以外のゲームで勝負しようと提案した。
騎馬は一瞬戸惑った素振りを見せた後、「いいでしょう!」と闘志むき出しの返事をした。
いいでしょうって、俺が説明してから…もういいや。
諦め半分、めんどい半分で騎馬にルールを説明した。


太鼓の達人 勝者:陸
音ゲー 勝者:引き分け
カート 勝者:騎馬
バスケ 勝者:陸





殆どのゲームをやり尽くした俺と騎馬。
なんで執事と勝負をしてるんだろ?ってふと我に返った時に思った。
 でも、さすが優秀な執事だけあって、身体能力・洞察力・記憶力までバッチリ。
普段あまり動かない騎馬の俊敏さに圧倒され、釣られて夢中になってしまった…ゲーセンを出る頃には、疲れ果てた俺と騎馬が、無言で駐車場に向かって歩いてた。


『やりすぎたな…』


「ちょっとはしゃぎ過ぎましたね…」


『まさか騎馬が、あんな風になるなんて…』