結局、葵の願いは聞けずに終わった。
それは俺が悪いんだけど、でも、葵に言った事は本当で…俺が好きなのは、幼なじみの葵。その事に変わりはないんだけど…
だけどやっぱ違うよな…
あってたら俺こんな後悔してないし。
ベッドに横になったまま、額に腕を乗せそんな事をずっと考えた。
 一夜が開けた今日、葵は普通に接してきた。
幼なじみとしてではなく、執事として。
まるで、昨日のキスが無かったように…
空元気ってこういう時に言うんだろうな。
でも、目が合うと逸らすんだよな…


『なんで執事なんかに…』


「一緒にいたいから、だろ?」


『…うん。 なあ、恭平?』


「なに?」


『お前いつからそこにいたの?』


「だいぶ前かな? なんか考え事してたっぽいから、話しかけなかったんだけど」


『…そっか』


「なんかあった?」


『風邪以外に?』


「うん。」


恭平の質問には答えず、違う事を聞いた。


『……お前学校は?』


「休んだ。んじゃなくて、早退してきた」


『そう…ゴホッ、ゴホッ…』


「大丈夫かよ!?」


『ん…ケホッ、大丈夫。』