そう言ってまた少し沈黙が続いた。


「…おじさまがね、いずれ陸にはお見合いでもさせる。って言ってたの。
それ聞いて、そうだよねって…ちぃちゃんもいつか誰かと結婚して、私の事なんか忘れちゃうんだろうな。って…そう思ったら、執事になろう!!って決心がついたの。
私の願いが叶わなくてもいい。ずっと側で見届けようって。
…黙って居なくなったのは、ちぃちゃんの顔見たらせっかく決めた事、辞めちゃいそうだったから。
私が執事になるなんて言ったら、ちぃちゃん絶対反対したでしょ?」


『当たり前…』


「でもね、行くとき騎馬さんに見つかっちゃって。」


『騎馬に?』


葵はうんと頷いた。


「陸が悲しみますねって、笑顔でそう言ってた。
でも、そんな事分かってた。きっと悲しむだろうなって…でも、こんなに変わってるなんて思わなかった。
大人っぽくなっててビックリ…、目もあわせてくれないほど私の事怒ってるんだなって。当然だよね?」


そう言って、小さく笑う葵は、本当に"幼なじみ"の葵に見えた。
俺が見てきた俺が知ってる葵。きっと、執事学校でいろんな事が合ったんだろうな…。