僕の執事

最初葵が言った言葉が分からなかった。
執事から幼なじみ?
なんだそれ?


『…いいけど』


訳も分からずそう返事をした。


「無理言ってごめんなさい。」


『別に、無理な事でもないだろ。幼なじみが執事になっただけで、お前が言ったのはそれの逆だろ?…執事辞めるわけじゃないんだろ?』


「はい、執事は辞めません。」


この会話をする間に目が覚めてしまった。
葵は俺に背を向け、ベッドに腰掛けると、「ふぅ」と息を吐いた。
そして、寸の間が開いたせいで再び襲い始めた眠気と戦いながら、葵が話すのを待った。
何が言いたいのかは、なんとなくわかる。
これでも一応、幼なじみだし。


「急に居なくなってごめんなさい。」


その言葉をきっかけに、俺の知らない間に起きた出来事を話し始めた。


「執事になる話は、結構前から進められてたの。
陸のお父さんがね、陸と一緒にいたいなら執事になったらどうだって。」


『親父が?』


「うん。」


「今思うとおかしな話しだよね。でも、おじさまは私の気持ちに気づいてたみたい…。
執事になるまでにたくさん悩んだ。
色んな葛藤もあった。
でもね、ちぃちゃんと居るのが嫌になって執事になった訳じゃないの。」