(わぁ、よかった。今日もだぁ…)
ガタンガタンと揺れる電車の中で、私はいつも『彼』に会う。
(今日は疲れてるのかな…?寝てるっっ!)
右目に眼帯してて
ふわふわで柔らかそうな茶色の髪してて
人差し指と中指には毎日違うシルバーリングつけてて
真っ白のシャツ
ちょっと緩められたネクタイ
そこから覗いてる、かっこいいネックレス
ピアスもつけてて
服装や、ネクタイから見て、ここら辺では有名な、超エリート学校だって分かる。
でも、こうやって見た目で分かるギリギリの範囲で私は君の事知ってるんだけど、他にももっと知りたいんだ。
名前は?
誕生日は、いつ?
血液型は?
何がすきなの?
何が嫌いなの?
彼女は、いるんですか?
考え出したら、きりが無いほど。
はじめてこんなに人を好きになって、どうしていいか分かんなくて。
見てるだけの、小さな恋。
そうこうしてる内に、次の駅についた。
彼の隣りに座ってた人が立って、降りていく。
どうしよう、これって、チャンスかな!?
座りたいけど、…どうしようっ。
降りていく人と同時に、乗って来る人も沢山いる。
ええい、もういい!!
座っちゃえ!!



