この世界で一番の奇跡は、

次の日。

「変じゃないかな…っ」

いつもは色々アレンジしてる髪の毛を、今日に限っていじらずおろしてきた。

ピンクのワンピースも、ふわっとしてていつものよりも大人っぽくしてみた。

メイクも、少し控えめにして・・・

私はどきどきしながら、慶次君との待ち合わせ場所に来た。

だって、慶次君は高校2年生。私はまだ中2のお子様だから…

少しでも大人っぽく見てもらいたい…。そう思って、いつもとイメージを変えてきてみる。

慶次君、なんて言うかなぁ…?

変かな…。やっぱり…



「…あれ?もしかして…優、姫?」

ふいに慶次君の声がして、振り向くと…

「け、慶次…君?」

別人…みたい。

制服を着ていない慶次君に見慣れていないせいなのか…
それとも、私がまだまだ子供っぽかったのか。

慶次君は青と白のストライプのシャツを着てて、
下にジーンズというシンプルな服装だった。

シルバーアクセサリーも、今日はつけてきてない。

「うわ…ごめん、何か今日の優姫…雰囲気違ったから分かんなかった…」

頭をかきながら焦ったように言う慶次君を見て、はっとする。

「やっぱり…変、だった…?」

「…いや。その、なんていうか…」

心なしか、慶次君の顔が徐々に、真っ赤になっていく気が…?

不安で、慶次君の顔を覗き込むと、慶次君は目を泳がせながら、
ちっちゃい声で言った。

「…かわいくて」

きゅん…って、した。

きゅんってしちゃったよ。

言ってから慶次君は、さらに恥ずかしくなったのか、
私に目を合わせないままその場にしゃがみこんでしまった。

「うわぁ…なんかかっこわりぃ…俺」

「け、慶次君もかっこいいよ!」

恥ずかしさを紛らわすために、私も慶次君のことを褒める。

でも、本当だよ。今日の慶次君、いつもにましてかっこいい。