その声でいつか


何でもないことすら、宝物のように感じるってやつ?


窓の外、学校を囲う白いフェンス。

そのフェンス越しに歩く2人の姿を見つけたのは、1ヶ月程前のこと。


こんな風に、“助け合い”のあとのだるさを持て余してた時のこと。


放課後のこの場所でタバコに火を点けて、窓の向こうに煙を吐き出したとき。



“柚杞!”



聞こえたその声に、何故か視線が動いてた。